こんにちは。今回は植物の話題です。
最近、店の近所の方の家庭菜園の立て直しを任されることになりました。
そこは、ご高齢のご夫婦がお住まいで、以前は奥様がいろいろな野菜を作られていたのですが、最近は年齢的なこともあって、なかなか手が回らずにほぼ「耕作放棄地」となっています。営業が終わってから少しづつ手を入れて、3月終わり~4月にはじゃがいもを植えられるように、と考えています。
そんな流れもありまして、植物を育てる基本的な知識から、一歩踏み込んだ応用までを何回かに分けてご紹介していくことにしました。
皆さんの花や野菜を育てるときの手助けになれば嬉しく思います。
植物が育つための大切な条件
次の5つは、とても大切な条件です。
①水 ②温度 ③光 ④空気 ⑤養分
水と光と空気は「光合成」を行うために必要です。光合成という言葉は広く知られていますが、光合成によって何が作られるのでしょうか?
「二酸化炭素(CO₂)」と「水(H₂O) 」と「光 」によって、葉の中の葉緑体という所で光合成が行われてその結果、ブドウ糖が作られます。
ブドウ糖は「作物の体やエネルギーを作る」という役割をしていますので、このブドウ糖がいかに重要かということが、分かりますね。
もう少し詳しく見てみると、作物の細胞の壁は食物繊維(セルロース)が平行に並んで壁を作っています。その食物繊維は、ブドウ糖が真っすぐに何個もつながると出来るのです。また、ブドウ糖と根から吸い上げた窒素(N)が合成されると「アミノ酸」になって、そのアミノ酸が数十~数百以上つながることによって、「たんぱく質」になります。たんぱく室は細胞の中身を作ります。
少し難しい話となりましたが、水と光と空気がとても大切だということが分かりますね。
その中でも「水」は、私たちは「水やり」という行動で、幼いころからその大切さを知っていますが、下のような例もありますので見てください。
Aさんは、4月からマンションに引っ越しして新生活のスタートを切りました。きれいな観葉植物の鉢植えを引っ越しのお祝いにいただいたので、窓際において育てることにしました。水やりは毎日しました。それなのに様子が変です。だんだんと元気がなくなってきました。「はやく元気になって欲しい」と更にしっかり水を与えたり、ホームセンターで液体の肥料を買ってきたりしましたが、効果はなく、余計に葉が落ちてやがて枯れてしまいました。
なぜでしょう?
答えは水のやりすぎです。水のやりすぎで「根腐れ」してしまったようです。
このように植物を枯らしてしまう原因としては、「水不足」ことよりも「水のやりすぎ」が多いのです。中にはサボテンを枯らしてしまった!という話も聞いたことがあります。
植物の根の周りには空気(酸素O₂)が必要なのですが、土が乾かないうちに水を頻繁にやって、土の中の粒子と粒子の隙間が水浸しとなり、空気がなくなって窒息したようなことになったのです。
根の周りにある水分は「浸透圧」の原理で根の細胞に入っていって、根の「導管」という管から茎を上り、光合成や細胞の材料として使われたあと、葉から蒸発します。つまり根で押し込まれる力と葉から蒸発していく2つの力で水が移動しているのです。なので根の細胞が元気に活動できるための空気があることが、とても重要となります。
土の中の空気。意外と盲点なので注意してみて下さい。
<鉢植え植物の上手な水やりの方法>
- 「毎日するものだ」という先入観をなくして、土の様子を観察しましょう。夏と冬とでは温度や日当たりに大きな差があるので、指で土を触ってください。表面が乾いていますか?エアコンなど風が当たるところでは表面だけ乾いている場合があるので、少し土を掘って確認して、水気が感じられず乾いている時に水やりをしましよう。
- 「水やりをするときはたっぷりと!」植物の根元に、鉢底から水が流れてくるまでたっぷりとやって下さい。室内で育てている観葉植物などは、水やりするときはベランダなどの屋外に移動して、鉢底から水がはっきりと流れてくるのを確認しましょう。(受け皿に水を溜めてはいけません)
- 「水やりは朝にやる」のが基本です。理由は上に書いたように光合成に水を使うからです。ただ、真夏は夕方の水やりも必要となるケースも多いでしょう。鉢が日中どこ(東西南北)に置いてあるか?や温度や日照りはどうなのか?を考えて、朝なら涼しいうちに(遅くても9時までに)夕方は陽が傾いてから(早くても4時以降)に行ってください。
今回は、①水 ②温度 ⓷光 ④空気 ⑤養分のうち、水と光と空気についての書きました。次回は温度や養分について触れたいと思います。