こんにちは。
すっかり春ですね。大野ダムの桜の話に続いて、今回も植物ネタです。
以前の記事『植物が育つための大切な条件①』で、 ①水 ②温度 ③光 ④空気 ⑤養分 のうち、水と光と空気についてお伝えしましたが今回は残りの2つ、温度と養分についてです。このシリーズで植物を育てる基本的な知識から、一歩踏み込んだ応用までを何回かに分けてご紹介していきます。
温度
みなさんの中には、園芸店やホームセンターで、色とりどりの花やフレッシュな野菜の苗を購入される方もおられるかと思います。でも苗で売ってなくて、種では販売しているものもあります。人参やほうれん草がそうですね。花の中でも移植を嫌うもの(朝顔やヒマワリなど)もあって、一般に種の方が安価ですし、種を蒔いて育てる場合も考えましょう。
さて、袋入りの種の裏面の説明の中に、種を蒔いて発芽する気温の範囲と、発芽したあと成長する気温の範囲が書いてあると思います。(棒グラフで分かりやすく季節の時期が示されているのもあります)
植物が育つためにはその植物に適した温度で管理することが大切ですが、その温度はひとつではなくて、「発芽に適した温度」と、発芽したあと植物が元気に育つ「生育に適した温度」の2種類があります。
そして実は、植物を育てていく中で「芽が出ない」という悩みは案外多いです。原因のひとつとして、ここで取り上げている発芽時の温度が低すぎる・高すぎるがあります。(他の原因として「光」の必要不必要や「水分が足りているか」もあります)
その場合は、もう少し時期を後にずらして種まきするのがベストですが、仕事で野菜を作られている農家さんでは事情は違ってきますし、家庭菜園を楽しまれている方々も収穫を目的とするので良い時期に苗が店頭に揃うことを期待しています。
例えばトマト・なす・ピーマンなどの夏野菜を想像してみましょう。これらの野菜の原産地は、日本の本州近辺より暖かい国々です。なので早春の気温は発芽にとって本来低すぎるのですね。
夏野菜(トマト・なす・ピーマンなど)
(例)7月から収穫したい → 5月のGW明けには苗を定植したい(大きく育てる場所へ小さな苗を植え替えることを定植といいます) → それまでにしっかりとした苗を育てたい → 3月に種をまいて発芽させたい。
しかし、早春の3月は肌寒く、屋内でもまだ「発芽に適した温度」ではありません。ではどうするのか?プロの農家さんは、専門的にいろいろな設備・機材を使って「発芽に適した温度」を実現させ発芽させて、早い時期に苗を作られていますが、趣味で家庭菜園を楽しまれている方の多くはプロの方が作られた苗を購入しているのではないでしょうか。確実で安心ですね。
でも、機会があれば勉強を兼ねて種を購入して、「ポケット催芽」という方法で発芽の促進をさせて、暖かい家の中で自分で苗を育てることにチャレンジしてみても良いかも知れません。
ポケット催芽というのは、種を濡らしたテッシュペーパーなどで包み込んで水分がある状態をキープさせ、それを小さなビニール袋やラップで覆って、シャツのポケットなどに入れて発芽を促進する方法。人の体温で温めて発芽を促進する原理です。
実際僕もやってみましたが、水分を切らさない・時々空気に触れさす・お風呂の時はどうする?(笑)など手間がかかりましたが5日くらい経つとわずかに発芽したので、そっとポットの土に蒔きました。
土は専用の「種まき用土」がおすすめです。発芽がうまくいけば「生育に適した温度」は比較的範囲が広いので順調に育ちやすいと思いますが、秋が深まる季節11月にもなると日も短くなって気温も急に下がってくるので、秋~冬の作物の中には注意が必要なものが多くなってきますね。発芽や生育に適した温度を把握して、地方によっては早めの生育がおすすめです。
養分
養分は植物の「生育」にとって大切な条件です。不足すると生育が遅くなったたり、止まってしまうこともあります。養分は「多量要素」と「微量要素」に分かれます。
水素(H) 炭素(C)、酸素(O)、窒素(N)、リン(P)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)、イオウ(S)
マンガン(Mn)、ホウ素(B)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、塩素(Cl)、ニッケル(Ni)
多量要素は、土の中にたくさん必要です。特に窒素・リン・カリウムは大切で、三大要素と言われています。